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靑色年回り

思っているのか

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思っているのか


「綺麗な指だ」
と与兵衛はおみつの手を弄ぶ。
それはおみつの身体を弄ぶような感じだった。
振り解きたいのに振り解けない。

女衒だ、瞬間的におみつは閃いた。
女を騙して心も身体もとろけさせて、遊女屋に売る。
その金は女の負担となる。

おみつは大年増だが値段がつくと思っているのかも知れない。
ひそひそと語られる与兵衛についての噂はこれだったのだ。

おみつはわざとすれっからしを装った。
「お上手だね。さすが色男。
こんな婆の節くれた手を綺麗だとさ。
いかにも、縁談の話よ。
明日になったら相手が来ますよ」

さっと手を振り払う。

おみつは家の戸を開け、身体中の力で締め出した。
突っかい棒をしっかり掛けると、
叩きに倒れこんだのである。

水瓶の柄杓から直接水を飲んだ。
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